日々つれづれ
008 初パーティー

結局ブレストプレートを諦めたチョップくん、目を真っ赤に泣き腫らし、しかたなく競売所で自分のレベルと財力に見合った装備をそろえる事にする。しかたなくとか書いてるけどそれがふつうの状況であり防具屋のNPCに向かってだだをこねる冒険者と言うほうがどうかしていると思う。思うけどチョップくんには言わないでおいて欲しい。ただ自分の欲求に素直なだけなのだ。(度が過ぎるけど。)

とにかく本日は競売所だ。実はレベル8になる今まで競売所を使った事がなかったのである。全くの先入観で決めてしまっていたのだが「競売」という響きがなんだかすごく敷居の高いものに思われ二の足を踏んでいたのである。自分のような新米冒険者にはまだまだ縁の無い場所だと勝手に決めつけていたのである。言ってみれば表参道に位置するオープンカフェのようなもので、ぱっと見利用するには抵抗があるものの使ってみたら案外いいじゃない!といった感じである。違うか?

とにかくチョップくんはモグハウスから商業区に飛び出し競売所に向かう。いつものように道端でバザーを開く人々を横目に噴水前をすり抜け、競売所のカウンターに声をかける。
すごい、なんだこのアイテムの量は!?見た事も聞いたこともないアイテムであふれている。試しにいくつかの胴装備(いわゆる鎧のたぐいですね)の売却履歴を調べてみた。うわぁ、2万ギル以上する鎧?えぇっ?こっちのは4万ギル!?なんだこれは、ケタが2つも違うじゃないか。多少成長してちょっぴりいい気になっていたチョップくんはすぐに認識を改めた。まだまだ自分は弱い。その体躯からは想像できないほどヤワなのだ。

目指す先は非常に遠くおぼろげにも見取ることはできない。しかし逆に言えばこれからまだまだ冒険を楽しめるワケである。前向きな刺激を受けたチョップくんは自分の財布と相談し、許す予算の範囲内でいくつかの装備を購入した。そしていつものようにすぐさまグスタベルグへと赴いた。

新装備をまとい北グスタベルグにて喜色満面
ブレストプレートが買えなかった悲しみはどこへやら。新装備を身にまといすっかりゴキゲンである。ブロンズハーネスにブロンズサブリガ頭にはレザーバンダナである。(どうもチョップくんはキャップ系の装備を好まないようでブロンズキャップの選択肢は却下された。)両手、両足が初期装備のままだというのは内緒である。

武器も今までの片手剣ブロンズソード(D値6間231)から片手斧ブラスアクス(D値12間276)に変えた。やはり斧である。戦士を志した時から斧をうまく扱える戦士になろうと心に決めていたのだ。しばらく戦闘して片手斧のスキルを上げよう。
辺りを見回し手ごろな敵に買ったばかりのブラスアクスを振り降ろした。

思ったよりもサクサクとスキルが上がり、レベルも9になってしばらくしたころである。チョップくんのチャットウインドウに見慣れない色の文字が表示された。

「一緒にやりませんか?」

その紫色の文字はtellモードにてチョップくんだけに誰かが送ったメッセージである。瞬間、明らかに鼓動が早まるのを感じた。チョップくんと同じようにヴァナディールにオンしている誰かがメッセージをくれたのである。そうだ。これはオンラインゲームなのだ。スタンドアローンのRPGでは絶対にありえない不意な流れ。10秒前に全くの他人から声がかかろうなどと誰が予想しえたであろうか?
急いでメッセージの主に言葉を返す。しかしどうやったらその人にメッセージを返せるかがわからずに(※1)かなりあせる。モタつきながらもメッセージの主を探し当てキーボードをたたく。

「初心者なんですがよろしいですか?」

メッセージの主に答えを返す。じっと彼からの返答を待つ。今までFF11をやってきたどの時とも違う空気がチョップくんを支配する。一番近い感情をひと言で表すならば「緊張」だろうか?しかしなかなかメッセージは返ってこない。「やっぱり初心者じゃあ足手まといになっちゃうもんなぁ?」と自問自答する。と、そこに返ってきた返事は意外なものだった。

「僕も初心者なんです」

なるほど!向こうも向こうでなかなか返答できずにあせっていたわけだ。いくぶん気が楽になった。チョップくんは「是非一緒にお願いします」とメッセージを送り、バストゥーク港の出口(北グスタベルグへの入り口)で待ち合わせをしようと話を進めた。

彼、Kさんはチョップくんより先にその場所にいた。金髪が印象的なレベル10のヒューム戦士だった。お互いモタモタしながら「こんにちは」「初めまして」などと挨拶を交わす。聞くとKさんもFF11を始めたばかりであり、チョップくんより2日程早くヴァナディールに降り立ったとの事だった。それではいざパーティーを組みましょうという段になってふたりとももっとあたふたすることになる。パーティーの組み方が分からないのだ。結局5分程時間を要し、チョップくんがパーティー参加希望を出しそれをKさんが誘うという形でようやく結成された。いよいよである。ヒュームとガルカのコンビは勢いよく地を蹴った。

結果から言おう。そのふたりで組んだそのパーティーの効率は良くなかった。悪かったと言ってもいいだろう。なにせふたりともパーティープレイというものがどういったものなのか、全く理解していないのだから当然である。今までソロで戦っていたのと同じぐらいの強さの敵に戦士がふたりがかりで切りつけ、てんでバラバラにその意味もよくわからず挑発をかます。お互いの意識も統一されていないのでふたりで別々の敵に攻撃をしかけている事もしばしば。それでもふたりは楽しかった。いや、少なくともチョップくんは初めてのパーティープレイが楽しかった。戦闘と戦闘の合間に交わされるチャットのなんと新鮮なことよ。

「スタンプラリーは(クエスト)やりました?」「タマネギみたいな敵が落とす球根って高値で取引きされてるみたいですよ。」「お金なかなかたまらないっすよね。」「釣りってどうやるんですかね?」「チョコボはやく乗りたいですよね。」

そんな会話を繰り返しながら1時間半ほどパーティープレイは続いた。お互いにひとつずつレベルをあげた。どちらからともなく「フレンド登録(※2)」を交わし(もちろんここでも膨大な時間がかっているのだが、笑)また一緒にやりましょうと挨拶を交わした後だった。
Kさんからチョップくんのチャットウインドウにメッセージが届く。
「レベル11になったら新しく装備を揃えようと思ってたんですよ。よかったら競売所までつきあってもらえませんか?」
オッケーオッケー行きましょう。というか行かせて下さい。装備関係の知識は少しでも増やしておきたいんすよ。
チョップくん重装甲ヘヴィ化計画のためにね。うはははは。

Kさんはいくつかの装備を買いその場で新たなものへとつけかえた。するとKさんの口からこんな言葉が飛び出した。

K:「ええ〜?これマジで?」
チョ:「?」

K:「なんか鎧にこのパンツみたいやつの組み合わせって変質者っぽくない?」
チョ:「!、うわはははは、、、、、、、、、、、、、、ぽい。」

Kさんが購入したのはスケイルメイルブラスサブリガだった。ちょっとマジヘコミのKさんに「ナイスセクシー!」の声を送りパーティーは解散することとなった。
バストゥークで初めてできたフレンドの変質、もとい、セクシーさを思い出し、もぐハウスにて眠りにつくチョップくんであった。

※1 メッセージを返す
実はいちいちコマンド画面からチャット>tellモードを選択しなくとも返信できる。一度メッセージをもらった相手には「ctrl+Rキー」のショートカットでよい。

※2 フレンド登録
フレンド登録というものを交わすことでその相手がオン状態かオフ状態か、どのエリアにいるのかといった情報が瞬時に分かるようになる。

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